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zoom RSS お奨めミステリー小説 (105) 『にごりえ殺人事件』 加納一朗

<<   作成日時 : 2006/12/12 00:59   >>

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樋口一葉(戸籍名:奈津)の肖像は2004年11月から5000円紙幣に採用されている。
しかし、その肖像は無表情で率直に言っていただけない。

最近になって一葉の十代の写真が発見されたが、髪を下ろしていて大変モダンだ。
本人も生きていたら絶対こちらを推しただろう。

明治維新から一区切りが付いてはいたものの、日清戦争に勝利するまでの日本は国際的な位置づけがはっきりせず、特に東京は随分と雑駁な町だったようだ。江戸と東京、文明開化と保守反動が交わり、社会保障も無い時代で貧富の格差が激しかった。

この作品はそんな時代の庶民を描いたものだ。

登場する人物たちは生活にも窮するほどだが、それなりに明るく生きている。
しかし、そこに影を落とすのが「作られた近代人」ともいうべき警察や軍の人間たちだった。

タイトルから想像されるほど一葉自身は登場しない一方で、『にごりえ』や『たけくらべ』の香りが確かに漂ってくる作品だ。急激な西洋化がもたらした精神の歪みから生まれた異常犯罪と意外な結末。

なにせ犯人は・・・なのだ。

作者の暖かい視線と見事な文章術に拍手をしたい。
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[あらすじ]

時は明治20年、前沢天風は『文明新聞』の社長兼編集主幹だ。新聞といっても、発行部数 500では続けていくのがやっとだ。しかし天風は世間のスキャンダルを煽るよりも、庶民の立場から天下を論じたいと考えていた。

天風の近所には樋口奈津という16歳位の少女が住んでいる。驚くほど聡明で将来は小説を書きたいと思っているが、家が貧しく満足な教育も受けられず親を助け働いていた。

昨今、巷には娼婦の姿が目立っていた。彼女たちがどのようにしてそのような境遇に落ちたのか取材に行った天風は偶然殺人事件に出くわす。被害者は街で客を拾う娼婦で、腹を突き刺し抉って裂くという残忍な手口だった。やがて、第二の犠牲者も同じ手口でやられる。街娼という以外、被害者たちに接点はなかった。

天風は事件を探るうちに、うめという娼婦と親しくなる。うめは大店に勤めていたが盗みの濡れ衣を着せられ店を追い出されたという。投げやりな他の女とは違って、うめは親と弟たちの面倒を見るけなげな娘だった。小説家志望の書生、柳下や法律学校の学生、滝沢などもうめに同情を寄せ、何とかしてやりたいと思う。

やがて、第三の殺人が起こる。今度の被害者も街娼だったが、奇妙なことに犯人は殺す前にうめの名を呼んでいたという。天風は奈津たちの協力を得て犯人像を絞り込む。

にごりえ殺人事件 (双葉文庫)
双葉社
加納 一朗


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そろそろ四十路の折り返し地点まできそうですからね(汗) ...続きを見る
優子
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