観たい・聴きたい・読みたい

アクセスカウンタ

zoom RSS 国立科学博物館の『ダーウィン展』

<<   作成日時 : 2008/03/22 00:14   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

来年はチャールズ・ダーウィンの生誕200年に当たる。

これを記念した 国立科学博物館 の『ダーウィン展』はダーウィンの生涯と「進化論」の誕生過程、進化論の解説を行ったものだ。恐竜展での巨大化石や古代文明展での「秘宝」のような派手なうりものは無いものの、真面目でセンスの良い展示で好感が持てる企画だった。

ダーウィンの家系は成功した事業家で当時のイギリスでは相当富裕な階層に属した。特に祖父は傑物で早くから進化論の原型を唱えていた。これはキリスト教会との決別をも意味する。そればかりか、この祖父は奴隷制廃止、女子教育推進、フランス革命・アメリカ独立支持という当時としては筋金入りの開明的な人物だった。

この爺さん、ある意味チャールズ・ダーウィンより面白いかも。

またチャールズの母親は高級食器のウェッジウッド社創設者の娘である。
まさに今でいうセレブ一族だ。

動植物を採集して分類するという行為はある意味、貴族的学問で閑人の道楽ともいえるだろう。
ダーウィンがそのような道に進めたのはこのような家庭環境があってこそだった。恵まれた環境もあって、ダーウィンは若い時期に数々の先人の著作を読破したが、特にマルサスの『人口論』の影響を受けたらしい。

展示はビーグル号による探検からその後の進化論成立過程を追う。進化論は一朝一夕に生まれたものではなく、ダーウィンが先人の業績を発展させまとめたものなのだ。

しかし航海から20年、キリスト教会との軋轢を怖れて進化論発表をためらっている間に、若いアルフレッド・ウォレスが同じ内容を発表しようとする。慌てたダーウィン一派が共に発表するように工作し、現在の「ダーウィンの進化論」となった。一介の収集家ウォレスとアカデミズムのダーウィンの立場の違いをうまく利用したともいえる。展示はウォレスに若干同情的なようだった。

その後は予想されたキリスト教会との大論争になるが、魔女裁判の時代はとうの昔に去っていたので、ハックスリーはじめ多くの門弟を従えたダーウィンは論戦でも負けなかった。生きている間に成功を収めた幸せな人だった。

ただ、あのカール・マルクスがダーウィンを賞賛し、サイン入り『資本論』を献呈していたとは知らなかった。

展示後半ではダーウィンの自然選択説(最近は「自然淘汰」といわないらしい)についての詳細な説明がある。これは本格的な解説で子供への配慮とかはあまり感じられない。

ところで日本は明治以降に入ってきた進化論をあっさり受け入れた。仏教のように輪廻転生の死生観を持つ日本人は生物が長い年月をかけ身体を変えていくというアイディアに抵抗感が少なかったようだ。

しかしキリスト教世界、特にアメリカではそうでもない。進化論を否定する動きが繰り返しあり、「進化論を教えることは違法」の州がかつてあった。特に中西部や南部など保守的な土地ではしばしばこの問題が起こる。

最近(2005年!)では、カンザス州教育委員会が生命を設計し創造した存在を認めるインテリジェントデザイン説(ID説)を公教育に取り入れようとした。進化論は「問題の多い理論」だそうだ。

ID説は現大統領ブッシュも支持した・・・やれやれ。

こうした「反進化論」はブッシュの嫌いなイスラム原理主義も同様な立場を取る。

「新世界」の住人であるアメリカ人の方がときとして「旧世界」のヨーロッパ人よりよほど保守的な面を示すのだ。「反進化論」はキリスト教原理主義ともいえよう。

また社会科学の分野で進化論を誤用すること、例えば「社会的弱者は遺伝的に劣っているので淘汰される」といったことを厳に戒めてこの展示は終わる。

総合的に娯楽性の少ない硬派な企画だったが、訪れた客は熱心に見入っていた。

良かったと思う。

ただ、展示されているゾウガメ、イグアナ、カエルはほとんど動かず、置き物のようだった。


シンカのかたち 進化で読み解くふしぎな生き物
技術評論社
北海道大学CoSTEPサイエンスライターズ


Amazonアソシエイト by ウェブリブログ


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
国立科学博物館の『ダーウィン展』 観たい・聴きたい・読みたい/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる