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zoom RSS NHK教育TV 『こだわり人物伝』

<<   作成日時 : 2008/07/15 23:16   >>

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教育テレビはかつての堅い番組作りから変わってきている。

語学番組や高校講座など、エンターテイメント性を増しつつも内容は充実しているのだ。
その中でも私が好きなのが火曜日 10:25 p.m.から放送の『知るを楽しむ・こだわり人物伝』だ。

最近放送されたものに限ってみても、グレン・グールド、横溝正史と私好みだ。

これらの人々を思い入れたっぷりらしい人たちが解説する。
さらに結構貴重な映像も観られて楽しい。

少し前になるが、チャップリンに関する分析が出色だった。
『モダンタイムズ』ラストシーンの解釈で映画の意味が全く違ってしまうという点は驚きだった。

現在放送されているのが作家、森達也の語る「プロレス悪役(ヒール)列伝」ともいうべきものだ。
プロレスなど大男によるただのオーバーアクションの見世物ショーではないか、と誰もが思う。
まして、やられるのが売りのヒールであるから、教養番組とはミスマッチな気がする。

ところが、これが意外とおもしろいのだ。

前回の放送では「吸血鬼フレッド・ブラッシー」を取り上げた。

血に飢えた「噛みつき魔」として1960年代にTV放送された際、ショック死者を出したというレスラーだ(当時はプロレスを真剣勝負と思っている人たちも多数いた)。噛みつくだけではなく観衆を「ブタ・低能ども」と罵倒し煽り、著書でも「100人ショック死させてやる」と書いている。

では、実際のブラッシーはどのような人物だったのか?

もともとハンサムで体格の良かったブラッシーは親たちの誇りだった。
性格はどちらかというと控え目だったらしい。
しかしハンサムさを生かした善玉レスラー時代は人気が出ず、一念発起し悪役に転じたという。

「悪役レスラーとは悪役を演じる俳優である」を実践したのだ。
自分と全く違う人格を演じることに生涯かけたといってよい。

実はブラッシーの夫人は年下の日本人で健在だ。

初めてブラッシーに出会ったとき、20歳だった夫人は彼のことを穏やかで知的な老紳士だと思ったという。当時プロレスはゴールデンタイムで放送されていたため「噛みつき魔」は知っていた。しかし目の前の紳士が同一人物とは、とても信じられなかったそうだ。

ブラッシーは日常では血を嫌い、奥さんが台所で手を切れば大騒ぎした。
旅行先で子供に噛みつかれたら困った顔をしたという。
また普段は外出せず、静かに読書を好んだ。
自分のために老人がショック死を起こしたことを聞き心を痛めていた。

ありがちなことだが、結論として
「人は見かけによらないものだ」あるいは「悪役やってるのは実は良い人」と終わるかと思った。

ところが最後のエピソードで、がらりと印象が変わる。

ブラッシーが母親を自分の出る試合に招待したときのことだ。
例によって相手に噛みつきり血みどろにしたブラッシーに母親はショックを受けて試合後尋ねる。
「あの優しいお前と悪役のお前のどちらが本当のお前なの?」

自らも返り血で染まったブラッシーは答えるのだった。
「どちらも本当の私ではない」

この瞬間、背筋がすーっとし番組は終わった。

大げさに書くと、これこそが知的エンターテイメントであろう。


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