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zoom RSS お奨めミステリー小説 (299) 『盤上の敵』 北村薫

<<   作成日時 : 2010/10/23 23:18   >>

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日常のほのぼのとした情景をミステリーに仕立てる北村薫の異色作ながら代表作。
全編に仕掛けられたトリックが炸裂する本格作品でもある。

この作品において、不条理で凶暴な力に曝される登場人物を描いたため、以前からの読者は驚き、「傷つけられ、裏切られた」という苦情も届いたという。そのため文庫版出版の際に異例な“作者からのお断り”が添えられた。曰く、「この物語によって慰めを得たり安らかになりたい方は読まないで下さい」一見、営業妨害のような文章だが、逆に興味をそそられた読者もいるだろう。そしてその期待は裏切られない。

作品は現実の世界と過去の記憶が交互に語られる。
圧倒的にインパクトがあるのは、主人公の妻、友貴子の回想だろう。
そこに出現してくる同級生、三季の不気味さと行動の不条理さは異次元の存在のようだ。

ただ物語全体をチェスに見立てた作者の意図は今一つ伝わってこない。
悲惨さを軽減するために寓話形式にしたという言葉もあまり説得力があるとは思えない。

はたして、この作品は妥協の産物なのか?

いや、決してそうではないだろう。

本作のラストはことのほか美しく幻想的だが、現実に目を向けたときは暗澹たる気持ちになる。
しかし安易なハッピーエンドに逃げなかったことで、ただのトリック作品ではなく普遍的な文学に昇華したのだ。

やはり、本作は北村薫の代表作である。
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[あらすじ]

テレビ局に勤める末長純一は東京郊外に一戸建ての家を買い妻と暮らしている。
多忙で不規則な生活だが、充実感を感じているこの頃だ。

ある日、家に帰った純一は自宅を警察に包囲されているのを見て驚く。猟銃を持った逃亡殺人犯が家に立て籠もっているというのだ。妻の友貴子が人質になっていると聞かされた純一は、ある作戦を立てて自らの勤めるTV局に情報を流す。人質救出が生放送で流れれば視聴率は他局に圧勝と言われた上司たちは中継車を回してくる。

友貴子は少女時代を回想する。母一人子一人ながら平和な生活を送っていた友貴子は中学入学と同時に一変する。兵頭三季という同級生に目をつけられた友貴子は執拗な嫌がらせにあう。理由は分からないが、三季は友貴子に対して異様な憎しみを持っているようだった。三季のやり方は巧妙でしっぽをつかませなかったが、高校進学と同時に縁が切れ、友貴子の人生は平和を取り戻した。

純一の携帯に立て籠もった殺人犯、石割から電話がかかってくる。
自分の逃亡を手伝えと言う石割に協力するふりをする純一に警察は不信の目を向ける。

平和な高校生活を送っていた友貴子は思わぬ形で三季と再会し、地獄のような目に遭わされる。
不幸は相次ぎ、母親は病死し、飼っていた犬は三季に殺されてしまう。

やがて街を出た友貴子は書店に勤めるうちに純一と知り合い、今の生活を手に入れた。

しかし、そこに新たな不幸が迫ってきていた。


盤上の敵 (講談社文庫)
講談社
北村 薫


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