観たい・聴きたい・読みたい

アクセスカウンタ

zoom RSS 高嶋哲夫 『津波 TSUNAMI』

<<   作成日時 : 2011/05/06 00:24   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

この作者の『イントゥルーダー』は、新潟の地震による原子力発電所の停止を予言していた。
それも道理で、作者は日本原子力研究所に長年勤務した原子力技術者だ。

ただリアルなだけでなく、小説の出来も相当なものだった。

本作は、架空の東京直下地震を描いた『M8』に続く作品。
東海地震による津波が発生し、原子力発電所を襲うという設定だ。

2005年に出版された小説だが、今の日本では、あまりにタイムリーだ。

本作の震災の設定は作者自身によるシミュレーションを元にしている。

ただし、「東海地震・東南海地震・南海地震が連続して発生したら」という大胆な仮説に基づいている。

死者の推定は30万人、経済損失は500兆円と見積もられている。
(大雑把だが、今回の震災の10倍くらい?)

経済損失の大部分が建物の倒壊と交通機関・ライフラインの喪失によるものである。

そんな作者も原子力発電所への津波がここまでの被害を出すとは想像できなかったようだ。

本作の津波による災害シミュレーションは、ある程度リアルだが、皮肉にも専門の原子炉では、予想を外している。

「原子炉建屋の外が震度7でも、内部は震度5。発電所にいた方が安全」というセリフにもあるように、原子力発電所は耐震の粋を集めて出来た建造物だ。

一方で、「原子炉が地震で緊急停止しても、冷却系配管がいかれたら、危ない」と作中で著者は主張している。
配管は他の構造物(格納容器など)より細くて、振動に弱いからだ。

ところが、福島では建屋外部に冷却電源そのもの(ディーゼル発電機)があり津波にさらわれてしまった。

高嶋のような原子力技術者にとって、「福島第一」は想定を越えた事故(人災だな)と言ってよいのだろう。

本作はリアルな一方で、『イントゥルーダー』の緊張と物語性はない。

それどころか、出版社の思惑からか、若干調子に乗っている感がある。
妙にヒロイックな登場人物が多いのも、どうかと。

一人の原子力技術者が自らの命を犠牲に原子炉暴走を止めたり、港でのタンカーの炎上をやはり一人の自衛官が防いだりと、かなりご都合主義だ。

エンターテイメントにしようとして中途半端な着地をしてしまったようだ。

国際テロを描いた同じ作者の『ミッドナイト・イーグル』も、少しそんな感じだ。

この現実を見て、悔しい思いをしているのは、作者高嶋自身かもしれない。


TSUNAMI 津波
集英社
高嶋 哲夫


Amazonアソシエイト by TSUNAMI 津波 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
高嶋哲夫 『津波 TSUNAMI』  観たい・聴きたい・読みたい/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる