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zoom RSS クリスティ 「幻の連作」

<<   作成日時 : 2012/01/14 09:22   >>

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アガサ・クリスティは、晩年まで創作欲が衰えなかった。
その中に「幻」といわれる作品群がある。

『カリブ海の秘密』は、普段イングランドの田舎暮らしをしている老嬢ミス・マープルが甥の薦めで出かけたリゾート地で起こる事件を描く。


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たまたま食事の席で一緒になった退役軍人の老人が奇妙な話をする。
妻を次々と殺した男がいて、自分は偶然撮影したその男の写真を持っている。
その写真を取りだしてマープルに見せようとした瞬間、老人はためらって写真を引っ込める。
その場にいた誰かに気づいたようだった。
間もなく老人は不審な死を遂げるが、持ち物から写真は消えていた。

はたして老人は殺されたのか?

ところが、生前の老人は様々な殺人の話を吹き回っていた。
犯人は男の場合も女の場合もあり、聞かされた方の記憶は定かではない。

ホテルに集う怪しい男女たちの中に老人の言う殺人犯がいるのだろうか?

…とまあ、相変わらずの設定だが、実に旨く誘導されてしまう。

本作のキーとなる脇役が謎の大富豪ラフィールだ。

傲慢だが、マープルが最後には友情さえ感じるようになるという珍しい設定。

そのラフィールが再び登場するのが、続編『復讐の女神』。


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ところが、なんと冒頭で彼はすでに死んでいる。

彼の遺言によって、マープルは、ある犯罪の真相を暴いて欲しいと依頼される。

後半の謎が秀作 『五匹の子豚』 を思わせるクリスティの十八番「追憶の殺人」でなかなか魅力的。

(ただし、『子豚』はポアロもの)

犯罪の動機もクリスティらしいものだ。

『復讐の女神』に続き、完結作である第三作が書かれるはずだったが、クリスティは亡くなってしまった。

以上が「幻の連作」と呼ばれるわけだ。

幻の第三作が書かれていたら、どんな内容だっただろうか?

いずれにしろ、『復讐の女神』は作者が最後に書いたマープル作品ということになる。

『カリブ海』が書かれた時点で 74歳、『復讐の女神』ではクリスティは 78歳だったそうだ。

『復讐の女神』には、マープルが独白する場面が多い。
当時の作者とほぼ同い年であるマープルの人生を振り返るような内容になっている。

作者がマープルを描いた最後と思って読むと感慨深い。

年代記的には、最後に発表されたマープル作品は 『スリーピング・マーダー』 とされる。


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しかし、これはクリスティ 30代に書かれた意欲的なもの。

マープルは『復讐の女神』よりよほど元気で、アクションシーンに近いものすらある。

両作に共通するのは「歪んだ愛」というキーワードだ。

改めて読んでみてもモダンだ。

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