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zoom RSS 小酒井不木 礼賛

<<   作成日時 : 2012/12/06 22:53   >>

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小酒井 不木(こざかい ふぼく)は、大正時代に短期間活躍したミステリー作家だ。

若くして東北帝国大学医学部教授となったが、結核にかかり 30代で早世した。

以前、 『死体蝋燭』 という作品を紹介したが、ユーモアのあるしゃれた作品だった。

彼の作品はなかなか手に入りにくいが、「大きな活字シリーズ」に短編集がある。





一転して、どれもがシリアスなもので、作者の医学知識が存分に発揮されている。

大正時代に書かれたとは思えない洗練された「理系ミステリー」なのだ。

『闘争』
精神医学の学者の世界を舞台にした当時としては斬新な作品。
大正時代のインテリのスノッブさが伝わってくる。

『恋愛曲線』
心臓に流れる微細電流の記録(今でいう心電図)と感情の関係を表現しようという試みを描く。
しつこい実験の記述が続くが、最後の一文でアッと驚かされる叙述ミステリーでもある。

『愚人の毒』
マラリアを題材にしたミステリーは他に知らない。
これも終盤にどんでん返しがある。

『安死術』
安楽死がテーマで現代にも通じるが、実は本題ではない。
家庭の悲劇を描きながら、ホラー要素もある。

『人工心臓』
おそらく作者の代表作で、人工心臓さらに人工心肺まで作ってしまおうというストーリー。
「肺を取り去ってしまえば肺結核で苦しむことはない」という理屈は、作者の境遇からきたものだろう。
それほどまでに、結核で血を吐くシーンはリアルだ。

本作で描かれたような入れ替え型人工心臓は、いまだに完全には成功していない。
(心臓移植の際の人工心肺は体外で使う一時的なもの)
その理由の一つが血液の凝固だが、本作にもそうした記述がある。

人工心臓で蘇生した妻の言葉は衝撃的で考えさせられる。

さらに「人工心臓は結局人工人生だった」とは、作者の理想論が表れていて興味深い。

このような知性を持ったストーリーテラーである作者には長生きしてもらい、もっと作品を生み出してほしかった。

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