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zoom RSS 映画は「オリジナル」が良いとは限らない

<<   作成日時 : 2016/06/21 08:20   >>

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各地で 「ヴィスコンティと美しき男たち」 と題するシリーズを上映中だ。


『ルードヴィヒ』 は、「ヴィスコンティの秘蔵子」といわれた ヘルムート・バーガー (Helmut Berger) の主演だ。

ミュージカルでおなじみの従姉エリザベートは「最高の女優」 ロミー・シュナイダー (Romy Schneider) が演じる。


他にもドイツ-オーストリア系の名優を数多く使っており、ロケ地も歴史に忠実だが、なぜか全編イタリア語。

(最後の湖捜索シーンのみ突然ドイツ語で驚いた)

吹き替えをしてまでイタリア語で制作するのがヴィスコンティのこだわりか。

しかし、しっくりこない。

日本人演じる日本映画をイタリア公開用にイタリア語吹き替えしても、第三国では日本語オリジナルもしくはその国の吹き替えで公開すべきではないのか?

この点をあまり追求されないのは不思議だ。

ベルイマンなどと並ぶ「文芸巨匠」にのみ許された作り方だろう。


近年ドイツで制作された 『ルートヴィヒ (Ludwig U)』 と基本ストーリーは同じだが、ずいぶん 印象 が違う。


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こちらはドイツ制作らしくリアリズムの追及がされ、若き日と晩年を二人の俳優が演じ分けた。

ルードヴィヒU世は195 cm の大男だったから、晩年の肥満した姿にも悲壮感があった。


しかし、ヴィスコンティ版で演じる俳優のバーガーはそれほどの体格でなく晩年まで若々しい美王のまま。

バーガーの演技が巧いだけに見かけと違和感があり、正直「あれ、もう死ぬの?」という終わり方だった。

これを美学と呼ぶなら、まあ好きにしてくれという感じだが。。

ただし、両映画とも弟オットーの狂い方やワーグナーの嫌らしさは俳優の好演で伝わってくる。


今回はヴィスコンティの意志である4時間の「オリジナル版」とのことだが、付け足した(過去にカットされた)場面はそれほど重要と思えない。

ワーグナーが息子の誕生に「ジークフリート牧歌」を演奏させるシーンは歴史的事実だが、ストーリーと無関係に挿入されるので戸惑う。

反面、オペラの上演シーンがまったくないのが不満である。

しかもその後ワーグナーは一切登場せず、死んで数年後に飛ぶので時間的感覚が分からない。

さらにドイツ版と異なり、同時代人で親交があったナポレオン三世やビスマルクが登場せず、世界情勢が台詞だけで説明される。

バーガーの見かけ同様、映画の中で20年が経過していることがピンとこないのである。


たとえ監督自身がオリジナルを望んでも、3時間の公開版(それでも長い)の方が適切だったのかもしれない。


ヴィスコンティの『ルードヴィヒ』は「絢爛豪華な映像美」で有名だ。

しかし意地悪を書くなら、ルードヴィヒが残した数々の城(ヘレンキームゼー、リンダーホーフ、ノイシュヴァンシュタイン)でロケをしたら、誰が撮ってもこうなるのではないだろうか?

この映画の「豪華な退廃美」はヴィスコンティというより深刻な政治情勢を顧みず城を建設し国家の財政を圧迫したルードヴィヒの「美学」なのである。

映画が制作された40年以上前はドイツの城を巡る日本人観光客など少なかったろう。

しかし、今ではそのことを多くの人が知っている。

ヨーロッパの世界遺産を巡るハイビジョンビデオから日本にいても感じとれるだろう。






また、本作の画質に関して修復が期待されたが、ノイズは完全に取り除けず夜の場面など不明瞭だった。


映画は再現芸術であり、編集の力に依っている。

そのことを念頭に置くと、ヴィスコンティの『ルードヴィヒ』は、かつての名優を鑑賞する以外に見どころが難しい。

コッポラが「ヴェトナム戦争を描いた」『地獄の黙示録』(実際はフィリピンロケ)と似たような面がある。

残念だが、歴史の評価にさらされるとはそういうことだ。


『ブレードランナー (Blade Runner) 』 がオリジナルディレクターズカットで評価を不動にしたのと対照的だ。

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