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zoom RSS クリスティ奥の院

<<   作成日時 : 2016/12/22 00:07   >>

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かつて書店に「クリスマスにはクリスティ」という標語があったそうだ。

バレンタインデーとチョコレートのような業界臭を感じるが、確かにクリスティ作品にはクリスマスをテーマにしたものが多い。

『ポアロのクリスマス』 などクリスティを代表する傑作もある。

敬虔なキリスト教信者とされるクリスティだが、ミステリーの素材として用いているのが彼女らしい。


一転して『ベツレヘムの星』は、キリスト教そのものを扱った異色作。

短編の連作集だが、子供でも読めるほど平易に書かれた薄い本。

しかし、内容は決してお子様向けのおとぎ話や説教本ではない。


表題作はキリスト誕生のときを描く。

例によって、マリアのもとに天使が現れ、空には大いなる光が輝く。

しかし、東方三博士の一人は「神はお告げや奇蹟など必要としない」とつぶやく。

では、あの光はなんだったのか?


本の中盤は話が現代に飛んで、一般市民が主人公。

日常生活に疲れたありふれた人間の癒しとしてのキリストが描かれる。


最後の作品は、イエス処刑後の世界。

母マリアは田舎の片隅で平凡な老女として暮らしている。

息子は罪人として処刑されたと村人は知っているが、同情心も持っている。


本書の最初と最後に登場するマリアは「奇蹟の聖女」としては描かれない。

しかし、無教養ながら賢く愛情深い女として描かれる。


意外なのは、晩年を「もう一人の息子」と暮らしていることだ。

ときにてんかん発作を起こし、この世ならぬ力を発揮する若者の正体は?

『ベツレヘムの星』は、ミステリアスで、ときにホラーぽくもあるが 『死の猟犬』 のような薄気味悪さはない。


プロテスタントでマリア信仰のないクリスティだが、本書はカソリック教徒が読んでも嫌な印象を持たないだろう。

絶妙なバランスの上に立った異色作である。


なお間接的にキリストを描いた『暗い抱擁』は、クリスティが生涯の代表作に選んだという。

別名義で書かれたこの作品はおもしろいものの、あるパターンの恋愛小説の範疇であると感じる。

『風と共に去りぬ』 にも少し似ている。


『ベツレヘムの星』こそ、クリスティらしいオリジナリティに満ちたほんものの奥ノ院ではないだろうか?


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