お奨めミステリー小説 (50) 『ラブ・メディシン』 L.アードリック

『ラブ・メディシン』は北米の歴史的文学の上位50に入ったこともある。

この作品は短い小説を断片的につなぎ合わせることによって、不思議な能力を持った女性とその一族の半世紀を追う。一部は誇張された表現によって大河小説のような趣きになっており、スケールこそ違うがガルシア・マルケスの『百年の孤独』を思わせる世界だ。

作者のアードリックはノースダコタ出身で先住民の血を引いている。拙著『牙の時代』に登場する留学生ルイーズのモデルでもある。後に『ビートクイーン』も同様な手法で書き、登場人物も一部重複している。おそらく、著者の幼い日の記憶が繰り返し同じ素材を使わせるのだろう。

ちなみに、この本は古本屋でもなかなか手に入らなかった。やっと見つけた北大言語文化部に借りに行ったところ、全く面識のない教授が個人的に貸してくれた。親切な人もいるものだと感心した。現在は同大学図書館の書庫に収蔵されているらしい。多くの人に読んでもらいたいが、もったいない話である。
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[あらすじ]

『世界一の漁師 (1981年)』
先住民居留地を飛び出して街で身を持ち崩し娼婦になったジューン・キャシュポーは故郷に向かう途中、雪の中で行き倒れになり死ぬ。
生前のジューンには父親の違う二人の息子がいた。私生児リプシャを育てたのは祖母のマリーだ。マリーの義弟で隠者のエリはかつてジューンを育て尊敬を受けている。

『聖女マリー (1934年)』
居留地から出てきて修道院に拾われたマリー・ラザールは狂った修道女レオポルダに虐待される。ある日レオポルダはフォークで刺したマリーの手のひらを手をごまかすために聖痕と偽る。マリーは修道院で聖女に祀られるが、ばかばかしくなり修道院を出る。

『血と肉と (1957年)』
マリーのもとに修道女レオポルダが死にかけているという知らせがくる。マリーは娘のゼルダを連れて修道院に行く。骨と皮になったレオポルダと争ったあげく修道院から飛び出した二人だが、ゼルダは将来修道女になると言う。

『ラブメディスン (1982年)』
ジューンの息子リプシャ・モリシーは手で触れるだけで他人を癒せる不思議な力を持っている。彼は祖母のマリーに感謝しているが、祖父のネクターには手を焼いている。ある日、マリーはリプシャにチペワ族の秘薬、ラブメディスンを手に入れるよう頼む。仕方なくスーパーで買った七面鳥の心臓を持っていくが、ネクターは喉に詰まらせて死ぬ。リプシャは事情を話し謝罪すると、マリーは許す。

『河を渡る (1984年)』
リプシャは自分がジューンとゲリーの間に生まれた私生児だと知る。
ある日、リプシャはマリーの金を盗み、異父兄キングに会う。キングは海兵隊上がりでベトナムの英雄だと嘘をついている。そこへ護送中に脱走した父ゲリーが訪ねてくる。
ゲリーによればキングの密告でゲリーは追われるようになったのだという。三人はポーカーをやるがリプシャはキングをはめ、ジューンの保険で買った車を奪う。警察が踏み込んでくるが危うく逃れたリプシャとゲリーはカナダ国境まで行く。その間にゲリーはジューンの魅力について語る。リプシャは母親への思いを胸に、河を渡り再び居留地に戻っていく。(以上はエピソードの一部)


ラブ・メディシン
筑摩書房
ルイーズ アードリック


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