『フラガール』は良作

映画『フラガール』 は常磐炭鉱の衰退に伴って建設された「東洋のハワイ」『常磐ハワイアンセンター』 創成期の実話に基づいている。

この映画は男性ストリップを描いた『フル・モンティ』、『ブラス!』、『キンキーブーツ』などと共通するテーマを持つ。洋の東西を問わず、社会の底辺でもがく人々の定番物語といえそうだ。

親友に誘われてフラダンスを始める紀美子、落ち目の炭鉱、初めは無理解な家族、憧れの教師、親友との別れ、母親との和解など「スポ根」の定番を踏まえている。紀美子を衝き動かすのは男に頼って生きたくないという強い意志だ。

それにしても、親友早苗の引越し先である炭鉱町夕張もその後は斜陽になって、今年財政破綻したのは象徴的だ。現実はまことに厳しい。

『フラガール』は今年度アカデミー賞の外国映画賞候補に推薦されるそうだが、誰にでも受け入れられる「現実のおとぎ話」だ。少し残念なのは炭鉱の男どもの無気力さ、下品さ、暴力性で40年前の日本はこんなものだったのかもしれない。途中でヤシの樹が枯れそうになるエピソードは不要で、都合悪くなるとペコペコする男を見ても全く泣けない。

キャストでは東京からやってきたダンス教師まどかを演じた松雪泰子の存在感が際立つ。彼女が踊るシーンはわずかだが、少女たちが憧れで見つめる場面は後半に紀美子が母親に見つめられる場面に繋がる。このあたりの演出はうまいと思った。また、松雪演じる教師を引き止めに駅に行ったフラガールズがパントマイムをするのは名場面だ。

ラストは意外とあっさりとしていたが、その後に松雪が演じた現実のまどか先生に関する表記には驚き。映画に出てきたハワイアンダンススクールも確かに存在するらしい。

蒼井優 という若手女優は『NANA』の宮崎あおいと並んで、なぜあんなに映画で使われるのか疑問だったが、この映画を観て少しだけその魅力が分った。訛りまくった演技も真に迫るが、最後のダンスソロは圧巻。おそらくミュージカル出身なのが関係しているのだろう。

また、最初主役かと見えた早苗を演じる徳永えりという娘は若いのに演技がうまい。これから他の作品でもお目にかかれそう。他にも『愛を乞うひと』で原田美枝子の少女時代を演じた浅川稚広、『エコエコアザラク』の上野なつひ、などがフラガール役で出演している。もっとセリフがあればよかったのに。

「映画の日」とあって劇場は老若男女で満席で、爽やかな涙を流して会場を去る人も多かった。

フラガールスタンダード・エディション
ハピネット・ピクチャーズ
2007-03-16
松雪泰子


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