微分が芸術に革新をもたらした?

『日曜美術館』 でバロック美術の特徴を述べるために分子生物学者の福岡伸一氏(青山学院大学)がそんなことを言っていた。

福岡氏によると、
一瞬の動きを止める、風景のある瞬間をとらえる、というバロック絵画の(一部)特徴が微積分を思わせるという。

代表的な例がフェルメールの『デルフトの眺望』だそうだ。
たしかに、この見事な風景画、拡大すると点描のようでありながら、全体は写実的。
細部を描き込むことで全体の動きを捉えているようにもみえる。

しかし、
17世紀の画家が当時の最新科学であった微分の概念を知っていたのだろうか?

あるいは、
それ以前のルネサンス絵画に動きの表現はなかったか?

などという疑問は残る。

バロック絵画を生み出した要因の一つはテクノロジーの進化(顔料の多彩さなど)だと思われる。
『デルフトの眺望』にはきらきらと輝く粒が見受けられるが、これはルネサンス期にはみられない。

また17世紀のカソリック教会が(宗教改革への反動として)必要とした“劇的な宣伝道具としての絵画”の存在が大きい。カラバッジョなど特にそうだ。

まあ、バロック絵画は生まれるべくして生まれたもので、後付けの理由であれこれ言っても仕方ない。

テレビ番組制作者に求められたからといって、理系の立場で適当なことを言うと後で火傷を負うものだ。

福岡氏がなんでも“脳の働き”で説明してしまう茂木健一郎の二の舞にならないことを祈る。



カラヴァッジョ―聖性とヴィジョン
名古屋大学出版会
宮下 規久朗


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