摂津の国の悲劇

私の住む北摂地域(大阪府北部)と大阪南部(岸和田方面)はなぜ言葉や気質が違うのか?
極端なところでは、「大和川を越えたら大阪ではない」とまでいう人もいる。

また兵庫県は土地(東部・西部・淡路)によって人間の気質がずいぶん違うという。

かつて、といっても明治維新まで‘摂津’という“国”が存在していた。

摂津とは現在の大阪府北部と兵庫県東部を併せた地帯であり、現在の摂津市はそのごく一部だ。
‘摂津’という地名は7世紀からあったというが、大雑把にいうと現在の‘阪神地区’にあたる。

明治4年に廃藩置県が行われ、摂津の国は大阪と兵庫に分割された。
さらに大阪には南部の河内・和泉、兵庫には播磨・淡路という“異国”がそれぞれくっついた。

大阪や兵庫に顕著な言葉や文化の違和感はこの強引な合併政策によるものだったのだ。

なぜ明治政府はこんな強引なことをしたのか?

戊辰戦争の勝者による敗者への報復という説もあるが、私にはよく分からない。

とにかく、大阪人の言う「あっちは別の国」というのは本当だった。

しかし、この事実を現代人は笑えるのか?

小泉政権以来の“公務の合理化”目的で市町村合併が推進されてきた。
歴史や文化の違和感を無視して、税制優遇というエサに飛びついた自治体自身も問題だ。

数十年たって「なんで私たちがあいつらと一緒なの?」と言われそうな事態だ。

さて“分断された摂津の国の悲劇”をミステリーに仕立てたのが芦辺拓の『切断都市』だ。

地名などは架空にしてあるが、大阪における治世者の無策さや‘大阪’という土地からお笑い芸人しか連想できなくした某芸能プロダクションの下品さを強烈に批判している。

文体は作者特有のリズム感に溢れたもので、一読に値するだろう。


切断都市
実業之日本社
芦辺 拓


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