『美女と野獣』にマリアの姿を見た

公開中の ディズニー映画 『美女と野獣』 が好調のようだ。


原語版・吹き替え版両方を観たが「誰にも不快感を起こさず 80点を取る」というディズニーのポリシーを感じた。

一部で報道されたゲイ問題は些末であろう。


フェミニスト としても知られる主演 エマ・ワトソン の強い意志を示すかのような顎と眼は今風。

ただのお飾りの美女とは一線を画す。

ダークな レア・セドゥ版 といい、ベルはもはや「夢見る乙女」ではないようだ。

本作最終盤、ベルが野獣を助けるために黄色いお姫様ドレスを脱ぎ捨て城に向かう姿は象徴的だ。


冒頭近く、エマ演じるベルが住む小さな村落の外れで、「外に出て広い世界を見たい」と歌う。

このシーンは印象的だが、J.アンドリュースがマリアを演じる 『ザ・サウンド・オブ・ミュージック』 の冒頭に似ている。

マリアは修道院というやはり小さな世界で育ち、トラップ大佐というある意味「野獣」に仕えて、その子供たちへの魔法を解く。

こうした「殻を破って自分の居場所を見つけつつ人助け」というストーリー、ある種の定番かもしれない。


しかし、オールザルツブルグロケのあちらに比べてCGの遠景のもとで歌うベルのスケール感は小さい。

有名曲らしい ”Be our guest.” はCGオンリーで、やり過ぎの感もある。

どうせCGで何でもできるんでしょ?という今の観客にとって、昔の映画の方が新鮮に見えるから皮肉だ。


出演者中、容姿、演技、歌と3拍子揃っていたのは、実は唯一の悪役ガストンを演じる ルーク・エヴァンズ ではないか?

『ガール・オン・ザ・トレイン (The Girl on the Train)』 で好演していたが、その押し出しや歌声から彼が野獣役であってもおかしくはない。

それだけに悪役でも光っているのだが、城で戦うシーンが例によってCG頼みでドタバタしており少し興ざめした。


とはいえ、音楽は素晴らしい。

本作は『ザ・サウンド・オブ・ミュージック』、『オペラ座の怪人』などと並んで、音楽だけでも鑑賞に堪える数少ないミュージカルなのだ。





エマ・ワトソンや最後に正体が明かされびっくりの Y.マグレガー、E.トンプソンらの歌唱も見事だ。


さらに、ケヴィン・クライン、イアン・マッケランら米英の名優を贅沢に配し、各客層の心に訴える。

群衆や黙役の魔女にも個性が与えられており「これ誰?」のようなことにならない。


ラストシーンでは、ここぞとばかりにオーケストラとコーラスが入り見事なアレンジと相まってカタルシスを得られる。

場面転換などの編集もみごとだ。


CGや厚すぎる名優のメイクなど小さな不満があるのだが、終わってみれば「夢の国へようこそ」だ。

長めの映画ながら、もう一回観たくなってしまうだろう。


同じエマでもエマ・ストーン主演の 『LA LA LAND』 と大違いなのは確かだ。


なお吹き替え版の歌唱は、濱田めぐみ、島田歌穂、岩崎宏美らヴェテランが安定しており、直訳調の歌詞はともかく安心して聴ける。

ガストン吹き替えの吉原光夫は、男性陣随一の好演。


ただ、やはり原語版の映像と声がマッチしており、第一のお勧めだ。


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