『英国総督 最後の家 (Viceroy's house)』 の絶妙さ

この映画は英国BBCの制作だが、安易に自画自賛しない英国らしさに溢れた良作だ。

(公式サイト) *映画を 100% 楽しみたければ、予告編を観ない方が良い


基本的には、第二次大戦後のインド独立の史実をもとにしている。

英国紳士である主人公 マウントバッテン卿 の行動も同様で、あまり捻りようがない気もする。


実際、分離を決定した「マウントバッテン裁定」で評価を上げたエリート軍人だった。

ところが、その裏で苦い政治的な駆け引きがあったことが分かり。。


長年ヒンズーもムスリムも英国支配からの独立が悲願だった。

だからといって 300年支配した英国から「もう返します」と言われても困るだろう。


そこで裏で暗躍していたのが第二次大戦の英雄チャーチルだ。

(この部分、フェイクという 主張 もある)


この映画は戦勝国の誇りであるチャーチルをも完全でないことを英国自ら示している。

日本映画で同じようなことを描いたら「自虐的」と炎上するだろう。

英国と違って敗戦国なのに、なぜか反省しない連中がいるのだ。


「さすがに英国は懐が深い」と感慨深いが、それだけ「インド帝国」政策が罪深かったともいえる。


卿とその妻を演じる二人にはすでに『ダウントン・アビー』、『X-files』 という主演名作がある。

しかし、これは両者の映画代表作となるだろう。


さらにガンディー、ネルー、ジンナーらを演じる俳優は本人かと見まがうほどそっくり。

モノクロ映像部分は、映画なのか記録なのか見分けがつかないほど。

独立時に虐殺から逃れた一族出身の監督はリアルさでは譲らなかったのだろう。

(実際のマウントバッテン卿は映画以上のハンサムガイだが)


堅い映画のようだが、実は恋愛要素も大きい。

これまでは英国に仕えていたが、国の分裂騒動に引き裂かれる男女。。

南北戦争、朝鮮戦争等、こうした映画はしばしば作られて気がする。


ここでは嫌みのない若い男女を配した。

父親や婚約者も嫌なやつではないところに制作者の配慮がある。

しかし、悪人はいないのに不幸になっていのが悲劇だ。

観ていて一時がっくりくるが、商業映画のようなラストシーンは救いだ。


またラスト直前に「パパ、人前ではしっかりして」というセリフがある。

それまでの白人男子優位の世界へのアンチテーゼとして印象深い(伏線が中盤にある)。


最も残念なのは、日本で上映する映画館が思いのほか少ないことだ。

たった100分に歴史の重さと娯楽を両立させた作品なのにもったいない。


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