日本映画の転換点? 『アルキメデスの大戦』

ほとんどの日本映画はつまらない。

何より脚本がいけない。

骨太で斬新なストーリーもなく、いらん説明をしたかと思うと、説明不足で何がなんだかわからなかったり…頭を使っていないとしか思えない。

最近ようやく宮崎駿監督がユニークな存在であることが分かってきた。


もう実写の日本映画は諦めていたのだが、夏休み映画 『アルキメデスの大戦』 はかなりの力作だ。




登場人物の大部分が軍人なのに、戦闘シーンは冒頭数分のみ。

あとは会議室のシーンが圧倒的に長い。

残りの大部分は、会議で相手を説得するためのデータ集めだ。

このような脚本作りは大変にチャレンジングであったろう。


少し似た映画に 『清須会議』 というのがあるが、こちらは史実に基づく。

『アルキメデス』は創作だから余計に難題と思われる…と思ったら漫画が原作だそうだ#


正直「数学の天才が戦争を阻止」という触れ込みは看板倒れで、鉄使用量から建造費を求める回帰曲線を描いたに過ぎない。

現在ならエクセルでもできる作業だが、80年前には帝大主席の頭脳が必要だったかもしれない。


しかし我々は戦艦大和が建造され、その後まったく働かずに沈んだという歴史を知っている(映画冒頭)。

主人公がじたばたしても所詮は虚しい空しい作業ということは最初から分かっているのだ。


一方で、主人公の行動が戦艦建造阻止にフォーカスされてぶれない。

それゆえ、観ている方は共感を持って応援することができるのだろう。


出演俳優の中で主役の菅田将暉(箕面出身)だけが極端に若い。

下手な演技ではないが、傍若無人で声が上ずっており、TVなどでも見かける「変人科学者」のステロタイプにはまっている。

こうしたところは改善の余地があると思われる。


彼以外の軍人を演じるのは海千山千のベテランぞろい。

海軍でもリベラルの代表で女好きだったらしい山本五十六を少しへらへらした舘ひろしにしたのは正解かもしれない。

酔っぱらいのような(演技?)橋本功との対決シーンは笑える。


他では、最終盤に自説で大和の存在意義を披露する田中泯の存在感は圧倒的。

へ理屈とはいえ、彼の独白を聞くだけでもこの映画の価値はあるのではないか?

一方の主役といってよく、また作者の知的な作業を思わせる。


最近の映画の中では強いメッセージを娯楽性という衣装に包んだ骨のある映画である。


#原作者は、無駄に多額な公共事業の代表として 2020 東京オリンピックスタジアム(廃案になった方)の 建設騒動 からヒントを得たという。



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