恐るべし! 日本の凋落

Clarivate Analytics 社が 高被引用論文著者リスト 2019年版 を発表した。

このリストは、世界的に影響のあるトップ科学者(HCR とクロス領域合計)を論文引用から発表するもの。

もちろん高被引用論文だけが科学者の誉れではないが、同一の評価法を続けているので動向は分かる。


これが実にすごい。

何がすごいかって日本の学問レベルの下がり具合である。


このリストには優れた科学者が世界から 6200人選ばれている。

このうち、日本人は全分野で計 98名である。

直感的に少ないと感じるかもしれないが、それは間違っていない。

この数字は、世界 11位である。


一流研究者の絶対数が少ないのも深刻だが、ここ数年での急な落ちぶりが輪をかけてすごい。

同データに 2014年(当時世界 5位)と 2019年の HCR比較がある。

この 5年間に世界の表彰者総数が 15%増加した。

つまり母数が上がったため、普通にしていれば各国の表彰者数は増加する。

事実、日本以外はすべて増加している。

(韓国でも 19→27人)


ところが、日本のみ 99→60人と急降下。

単純計算なら、115人くらいになるはずだから半減である。

5年で日本の影響力が半減する分野がこの世にあるだろうか?


トヨタ車の販売シェアが 5年で半分になったら大変なことだ。

日本の研究の世界ではそれが起こっているのである。


データをそのまま信じると。今の日本の科学力は「先進国」でイタリアを除けば断トツのビリである。

(そのイタリアでも 49→54人と増加)


日本は人口が日本の半分であるフランス(9位)、ドイツ(4位)に大きく差を開けられている。

ドイツに至っては、日本の 3.5倍だ

さらに中国(2位)はもちろん、スペインや人口がはるかに日本より少ないオランダやスイスにも完敗。

もうすぐサウジアラビア(12位)にも抜かれるだろう


これで「ノーベル賞の獲得数は世界トップレベル」と騒いでいるのだから日本のマスコミは救いようがない。

あれは30年前の遺産であることが分からないのか?


賞の時期にしか科学を話題にしないその場限りの国民性にも問題がある。


こうした科学の凋落をもたらしたのは、政府の大学や基礎研究への軽視だけだろうか?

たしかに大学予算や研究費は減っているが、全盛期の半分になったわけではないだろう。

むしろ科学者という職業のステイタスが低下し、若者が付きたいと思わなくなっているとみる。

(ポスドクの貧困問題も普通に高校生は知っている)


同じくかつては高いレベルの科学研究をしていたが今や顧みられない国にロシアがある。

ソビエト時代の一党支配官僚制と学問の自由弾圧のツケで優れた若者が科学者など目指さなくなった。


これに対して影響力を増しているシンガポールやサウジは、優れた研究施設に高額給与で研究者やスタッフを集めている。

これらは国立研究所の所長に年収 5000万円、ポスドクに 1000万円を提示してスカウトする国である。

優れた研究者は国の将来を担うスターであり、年収以上の益をもたらすと考えているのだ。

(もっとも政治体制は一党支配と大して変わらないが)


かつてのソビエト顔負けの官僚国家日本では、もちろん無理な話だ。

ここは身内からのスター出現を喜ばない島国なのだ。

まして海外から人材を呼んだら「税金を外国人に使うな!」と言い出す輩が必ずいる。


日本では、早めに終身雇用のポジションについた者が勝ち組。

かといって、上には過去の栄光に包まれた老人が居座っていて、明るい未来はない。

並の研究者は、わずかな研究費をちびちび使って3年以内に結果が出る小さな研究を続ける。


こんな国では、科学が好きな若者にも科学者が憧れの職業になると思えない。

科学者という仕事と科学者という職業には乖離があるのだ。

むしろ日本で職業科学者を選ばない子供の方が知的な気すらする。


彼ら彼女らには、日本を出て海外で良いポジションにつき日本の老人どもをぎゃふんと言わせてほしい。


「日本が科学の世界でいかにして急速に遅れを取ったか?」 は興味深い研究対象になるだろう。

しかし最後は「だって島国だもん」で終わりそうな気がする。


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