お奨めミステリー小説 (204) 『ゆすり屋』 A.ペリー

作者はヴィクトリア朝時代を舞台にしたミステリーの専門家だ。この時代の代表的探偵といえば、間違いなくシャーロック・ホームズだが、庶民を相手にしているホームズと違って、こちらは上流社会、執事がかしこまる貴族の屋敷が舞台だ。

そんな世界を描く作者ペリーは有名になってから大きなスキャンダルで話題になった。彼女が少女時代を過ごしたニュージーランドで友人と謀ってその母親を殺害していたという。そのときは薬物の影響であったといわれるが、凄まじい過去には違いない。

ところで19世紀後半で産業革命の時代とはいえ、現在のようにカメラや録音機器のような記録媒体はない。いったいなにをもってゆすりの証拠とするかだが、なんと「紳士の証言」らしい。上流社会の人間は嘘つかない、ということらしいが、それを逆手に取ったのがこの小品だ。

ホームズものにもこの手の恐喝をテーマにしたものがいくつかあった。この作品のラストにはホームズものにはない捻りが少しばかりある。大人になってから思うのは、ホームズものはミステリー、ましてや本格ものなどではなく、ビクトリア朝時代を描いた風俗小説ではないかということだ。
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[あらすじ]

数学者で骨董愛好家であるヘンリー・オスボーン卿はダーシィという実直そうで身なりの良い青年の訪問を受ける。ダーシィにはエリザベスという家柄と人柄が申し分ない婚約者がいる。ところが二人で友人の貴族の別荘を訪問してい際、飾られていた貴重な絵画が盗まれてしまった。

ダーシィは絵が盗まれた時間帯に屋敷内の温室でたまたまミス・バートレットという女性と話し込んでいた。彼女の証言でアリバイを証明すると、エリザベス以外の女性と一緒にいたことを話さざるを得ない。しかもミス・バートレットは身分が低くあまり評判の良くない女性だった。潔癖なエリザベスが知ったら、どう感じるだろうか?

この盗難騒動をオルバリーという男が嗅ぎつけダーシィをゆすってきた。盗難犯人としてスキャンダルにならなくても、ミス・バートレットのことが明るみに出ればエリザベスは体面を失うだろう。

恐喝は卑劣な犯罪と憤るヘンリーは一計を案じる。
友人で申し分ない紳士のジェスモンド卿とともにゆすりの現場を押さえて、オルドリーを黙らせようというのだ。

一見うまそうな計画だったが・・・

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