意外と志が高い?『ボブという名の猫』

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』 は、ヘロイン中毒のホームレスから人気作家になった原作者の経験を映画化した作品。


ある意味、ハリー・ポッター原作者より劇的な転身だろう。



原作と映画の最大にして唯一の功労者はボブという茶トラの猫だ(映画にも本猫出演)。

1日20時間寝ることもあるネコが首にひもを巻かれ日中街中に連れていかれるのだから下手すれば虐待だ。

(映画もたびたびボブの戸惑うような目線で撮影されている)

ボブは「ご主人様と一緒なら」と耐える。

日本にもキャンペーンできているので特別感覚の持ち主かもしれない。

まるでよくできた飼い犬のようだが、ここらへんの解釈は観る人にゆだねられる。


演じる英国人俳優たちは、相変わらず皆巧い。

元ジャンキーの主人公を演じる俳優のキョトキョトした視線や行動は、まるで本当の中毒患者のようだ。

しかし、薬物が抜けてからは普通の話し方になるので演技だったとわかる(当たり前)。


他の登場人物は、みな「基本良い人」だ。

特に父親は息子を気にかけつつ、新しい家族の視線も気にする。

日本のサラリーマンを見るようで、多くが共感を覚えるだろう。

ヤクの売人でさえ、不気味さこそあれ、むやみと暴力的ではない。


Big Issueの販売員は「ボブの人から買う」と言われて腹が立つだろうが、正式なルートで抗議している。

ネコ人気で他人の客を取るというのは、ノーマルホームレスにとって迷惑行為なのだ。

これが芸の無い日本映画ならすぐに乱闘騒ぎにしただろう。


これは、動物のかわいさだけに頼った映画ではない。

「ボブを私に預けたらもっといい環境を提供できる」という通行人にかっとして「代わりにあんたの子供を俺に預けな」というシーンには英国の演劇性が感じられる。

こうしたセリフでも分かるように、主人公は聖人君子ではない。

一方で、友人を見捨てない程度の人間性は持ち合わせている。

それでもヤク中に落ちて這い上がれず、社会の底辺に巣食う存在となってしまう。

また、怪我したボブを病院に連れていけば「安楽死希望?」と無表情に尋ねられる。

英国の社会福祉や動物愛護精神は表向きで、弱い存在は救われないという社会に抵抗を示してるようだ。


正直なところ、ボブを連れていなければ、主人公は小汚いホームレスにしか見えない。

歌もぱっとせず、大阪駅のストリートミュージシャンの方がましに聴こえる。

外国観光客の多いこのご時世、彼らもなにか動物を連れていたらSNSで一気にブレイクするかもしれない。

ネコはもう通用しないだろうから、九官鳥かフェレットあたりどうだろうか?


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